フリーライター、書くヒト

フリーライターの篠原修司が書くブログ。実際に働きながら身につけた文章のテクニックやネット炎上の事例、フリーランスについてのあれこれを書いてます。

「他社製品と性能比較してSNSに結果を流すのは営業妨害です。株価が下がったら責任取れますか?」と公開やり取りで炎上事件

 個人ブロガーがオーディオ用インシュレーター製品Aと製品Bの性能を比較するとツイートしたところ、製品Aをブロガーに貸し出した株式会社金井製作所が「他社製品と性能比較してSNSに結果を流すのは営業妨害です」とツイート。「個人のレビューに対して営業妨害呼ばわりはどうなんだ?」と炎上しました。

※オーディオ用インシュレーターとはスピーカーを床に直置きすると振動により音に雑味が加わってしまうため、それを取り除くためにスピーカーの足として設置する機材のこと。

炎上までの流れ

 5月7日、金井製作所がブロガーに製品Aの試聴機を貸し出し。

 5月13日、ブロガーと金井製作所が仲良さそうに交流する。

 5月17日、ブロガーが他社製品と性能を比較するとツイート。

 金井製作所がブロガーのツイートに対して「営業妨害です」と警告。

 その後、言い争いに発展する。

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 5月18日、金井製作所が謝罪するも「うちと他社さんの株価が下がったら責任取れますか?」ツイートしていたことが判明する。

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どうすれば炎上を防げたか?

 試聴機として貸し出しているのであれば相手の連絡先は知っているはずです。ネットに公開されているTwitterにそのまま返信するのではなく、「困ります」と直接伝えれば問題にはなりませんでした。

 また、訴え方にも問題がありました。

 「他社品と性能比較してSNSに結果を流すようなことは、営業妨害に他なりません。やめて下さい、また直ぐに返却してください。買って頂かなくて結構です」はかなり強い言い方であり、“ブロガーが試聴機を借りていること”を知らなければ「なんだこの失礼な会社は」という印象を見た人に持たれてしまいます。

 単純に「試聴機でそのようなことをされては困ります。せめて購入されてからにしてください」と伝えれば、公開状態であったとしてもここまで問題にはならなかったでしょう。

モニター機で他社製品との性能比較は考えられない行為

 企業から貸し出されたモニター機で他社製品と性能を比較する行為は、通常では考えられないことです。

 まず、一般的にモニター機でレビューや紹介記事を執筆する際には

  • 製品名は正しい名前をフルネームで記載すること(文中で略すのはアリなことも多い)
  • 他社製品の名前を出さないこと
  • 内容にかかわらず取り上げて欲しい商品の特徴(褒めても良いし批判しても良い)

 といったような、レギュレーション(執筆時のルール)が提示されます。

 このレギュレーションに同意できない場合は「レビューを行わない」という選択を取ることもできます。

 今回の炎上事例では、そもそもこのレギュレーションの取り決めがなかったとのことです。

 それでは、レギュレーションがない場合は他社製品との比較をしても良いのでしょうか?

 一般的には、レギュレーションのあるなしにかかわらず考えられない行為です。

 モニター機側の性能が優れている・いないにかかわらず、「企業Aが企業Bの製品の評判を左右する行為を、企業ではなくレビュワーの責任で行わせる」のはコンプライアンス(企業倫理)に違反しています。

 そうした行為は企業の責任で行うべきことであり、「他社製品と比較してその結果をブログで広く伝えてください」と依頼してくるような悪質な企業とは取引をやめるべきです。

 仮に「レビュワーが勝手に行った」としても、その責任を取ることになるのはモニター機を貸し出している企業です。顧客が自分で買った製品を自由に批評しているのではなく、企業から貸し出したうえで行われているわけですから「性能比較に協力している」ことになります。

 そうしたことを回避するため、企業は「他社製品の名前を出さない」といったレギュレーションをレビュワーと結びます。

 今回はレギュレーションがなく、ブロガー側が確認を取ることなく「性能を比較します」と公開でツイートしたため金井製作所側も慌ててあのような返信を行ったのでしょうが、その内容は「営業妨害です」「責任取れますか?」など脅迫に近いものであるためどちらにも問題があったと言えます。

炎上の結果起きたこと

 金井製作所がお客様に対して謝罪、運用を自粛すると発表しました。

 金井製作所のGoogleマップ上のレビューに★1評価が連投されました。

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 なお、株価が下落しているかどうかについても調べましたが、銘柄を見つけることはできませんでした。上場されていないように見受けられます。

4月24日8時02分追記

 掲載している個人ブロガーだと名乗る方より、「モニター機での性能比較はマナー違反だと持論で断定するのはいかがなものか?」との意見を頂きました。

 そのため「モニター機で他社製品との性能比較は考えられない行為(旧:モニター機での性能比較はルール違反)」の項目を事実に基づく内容とそこから発生している持論について分けた内容に修正しています。

 以下は修正前の内容です。

モニター機での性能比較はルール違反

 これは私の考えですが、他社からお借りしたモニター機で性能比較をするのはルール違反です。

 モニター機とは「その製品を宣伝して貰うために会社が好意で貸し出してくれるもの」であって、「その製品を他社製品と比較して貰うため」に貸し出しているのではありません。

 もちろん自分で買うか買わないかを決めるために他社製品と比較するのはアリです。しかしそれを記事化して外部に広める行為は、少なくとも製品モニターをよく行う私からするとありえないことです。

 会社側からみても、製品をテストして貰うために貸し出しているのに目的外のことに使われてはたまらないでしょう。

 そのためあのようなツイートを公開状態で行うに至ったのだと思いますが、金井製作所のツイートも脅迫に近い内容のためどちらにも問題があったと言えます。

4月24日12時53分修正

 「4月24日8時02分追記」の項目にて個人ブロガーからのメールの一部を掲載していましたが、本人から抗議を受けたため要約した内容に修正しました。